How to create an Outline #6
私の場合ですが、
行き慣れた定食屋に入ると、大体同じことが起こります。
「今日は違うメニューにしよう」
と思ってメニューを開く。眺める。
気づいたら、いつものを頼んでいる。
その繰り返しに、深い意味はありません。
ただ、慣れ親しんだ方を選んでいるだけです。
でも、繰り返しにはもう1種類あります。
遡ったとき、意味が見えてくる繰り返し。
けもの道は、最初から道ではない。
同じところを歩き続けた結果、道になる。
歩いている最中は、道を作っているとは思っていない。
「繰り返し」は、意図的には生まれません。
「こうしよう」と決めて繰り返すのは習慣です。
気づかないまま同じことをしていることが、「くせ」です。
「くせ」は自覚しにくい。
進んでいる最中は、繰り返していることすら自覚しない。
他の人が先に気づく。
「またそれやってる」と言われて、初めて見える。
言われるまで、道ができていることを知らない。
学生向けの勉強Webサービスを作ったとき、初めてUI/UXというものを意識しました。
それまでは「かっこいいデザイン」を作ることが仕事だと思っていたんです。
でもそのとき、かっこいいより先に考えたことがありました。
これは使えるか?複雑な操作画面を要求されたこともあり、直感的に気持ち良く使用できるUIを作っては試す作業が必須でした。
幾つもある操作パターンは、まず自分が使いづらいと感じるなら採用はしない。
かっこよくても、使えなければ価値はないんです。
その判断は意図した方針ではありませんでした。
その案件で当たり前のようにそうなりました。
それから3年。
Webアプリ、管理画面、業務システム
作るものが変わっても、同じ判断をしています。
画期的なアイデアが浮かんでも、自分が使いづらいと感じれば考え直す。
定食屋で同じものを頼み続けるのと、外から見れば同じに見えるかもしれません。
でも遡って並べたとき、違いが見えました。
そこには一貫した根拠があり、
同じところを、自ら何度も歩いていたんです。
あるデザインを提出したとき、こう言われました。
「優しいデザインがムラサメさんらしくて、安心します。」
その言葉を聞いたとき、何かが確定しました。
3年かけて自分が気づいた繰り返しを、相手は一言で言い当てる。
自分の内側にあったものが、外側から見えていたんです。
それまで「なんとなくそうしている」だったものが、
その時から「だからそうする」になった。
「くせ」に、名前がついた瞬間です。
軸は作るものだと思われています。
目標を立てて、意識して、習慣にする
そういう能動的なプロセスで作られると思われてますが、実際は違います。
既にそこにある繰り返しを、発見するものです。
けもの道は、計画して作られない。
同じところを歩き続けた結果、気づいたら道になっていた。
軸も同じこと。
意図して植えるのではなく、気づいたら生えていたものに名前をつける。
名前をつけることで、それまで無意識だった繰り返しが、次の判断を支える根拠になる。
その根拠の積み重なりが、徐々に輪郭になっていく。
同じ判断を、何度もしていた。
気づいたのは、ずいぶん後だった。
でも気づいたとき、それは既に道になっていた。
「あなたはいつもこうですね」とポジティブに言われたとしたら。
それはもう「くせ」ではなく、輪郭です。
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