原田:井口皓太モーショングラフィックス展クロージングセッション、グラフィックデザインをテーマにした回を始めたいと思います。この回は、今回展示されている井口さんの新作のひとつ「MULTIPLANE BOOK」のコラボレーションのお相手である、コクヨのインハウスデザイン組織、YOHAK DESIGN STUDIOの佐々木拓さん、金井あきさんと一緒にお話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
金井+佐々木:よろしくお願いします。
原田:ここからは、井口さんとおふたりのコラボレーションでつくられた作品のお話と、グラフィックデザインとモーショングラフィックスの関係をテーマに聞いていきたいと思っています。
その前に、まずは今回の展覧会の概要について伺います。井口さんは今回「モーショングラフィックス展」と題して、グラフィックデザイナーの方とコラボレーションし、それぞれのグラフィックデザインの特性を読み解き、それをモーショングラフィックスにしたうえで、さらに立体の動くキネティックスカルプチャーのようなものにされています。そもそもどうしてこういう形にしたのか、そしてなぜグラフィックデザイナーとコラボレーションをされたのかを、前段として改めてお聞きしてもよろしいでしょうか。
井口:最初にお声がけいただいた時に、展示の主体は井口皓太としてでも、僕がやっているチームであるCEKAIとしてでも、どちらでもいいという話からスタートしました。最初はCEKAIというチームをうまく編集したいなと思っていました。ただ、CEKAIはジャンルが実写映像からプロダクトデザイナー、アーティストまでいるチームなのですが、「グラフィック」ということだけは意識してほしいという軸が決まっていました。
原田:ギンザ・グラフィック・ギャラリーですからね。
井口:はい。そこで、むしろギンザ・グラフィック・ギャラリーさんの力を使って、CEKAIというチームとの関わり、領域を横断しようとする試み、デザインの姿勢のようなことが可視化されるといいなと考えました。
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井口:いま僕は、自分がやっていることに関して、「モーションデザイナー」「モーションデザイン」という言葉を使っているのですが、今回は「グラフィック」という言葉を入れた方がいいなと思い、「モーショングラフィックス」という言葉を軸にしました。ただモーショングラフィックスを展示するというよりは、それを軸にグラフィックデザインというもの自体がいまどう見えてくるのかを扱えたらいいなと思っていました。
モーショングラフィックス自体は、グラフィックデザインやプロダクトデザインとは違い、ちゃんと形になっていない印象がありました。日本のアイデンティティだったり強みであったりするのですが、いまや社会に溶けてしまっていて、クリエイターそれぞれがUIデザインをやっていたり、アニメの業界にいたり、VFXにいったり、実写の監督になっていたりします。もともと根幹にはモーショングラフィックスというものがあったけれど、社会に溶けていっている感覚があったので、こういう場所を活かさせてもらって、ちゃんとこういう分野があると定義づけたいと思っていました。
僕の中でグラフィックデザインというのはビジュアルの伝達やコミュニケーションの中で、どの時代でも一番強い軸になってくるデザインだと思っています。その力を借りながら、モーショングラフィックスとうまく絡めることで、グラフィックデザインにモーショングラフィックスが介在し、そこにエンジニアも絡んできて、また違う領域もあるかもしれないということを見せたかったというのが企画の軸でした。
僕は普段からグラフィックデザイナーがつくったものに時間を与えたり、3Dにしたり、空間的に扱っていきます。時空四次元といった言い方もしますが、モーショングラフィックスをつくって基本的にはモニターに収めて終わり、映像として納品することが多いのですが、いまは使い方がいろいろ多角化し、都市空間のような話にもなっていたりします。その中で僕がやっていること自体をもう一度平面に戻そうとする行為が何か新しいものを生み出すのではないかというイメージがありました。一度僕が3D空間というか、バーチャル上で広げたものをもう一度実空間に投射し、平面には戻っていかないという。まずグラフィックがあり、それを僕がモーショングラフィックスにして、その延長線上に何か違うものが立体的に立ち上がってくるという感覚です。
原田:そういった次元や空間を行き来するような感覚は、井口さんの普段の制作における頭の中にあるのですか?
井口:そうですね。僕もグラフィックデザインを学んでいましたが、武蔵野美術大学の基礎デザイン学科の出身なので、領域をあまり分けないという考え方がベースにあります。ただ、そうは言われているものの学生の時はグラフィックデザインの仕事しか想像できないことがありました。
とはいえ、平面にカチッと決めていくことや、そこに瞬間的に伝達する力を持たせるということが僕の中では難しかったんです。むしろ、グリグリ動かしながらモニターに映像をつくっていく方が性に合っていました。時代もマルチスクリーンな世界観になっていく中で、自然とそちらに入っていった感じです。僕自身の気質もありますし、時代性もあったような気がします。
原田:今回は3組のグラフィックデザイナーとコラボレーションし、その過程で3組のエンジニアとも協働していますが、そもそも井口さんにはシンプルにコラボレーションが好きという話もあるのかなと(笑)。
井口:そうですね。自分だけではつくれないですし、それにあまり興味を持てないところもある気がします。自分だけでつくり上げることにあまり意味を見出せない感じがありますし、一緒につくっていくことが楽しく、そこで自分のアイデンティティが出せる感覚はずっとあります。むしろ、自分ひとりでやる方がアイデンティティを出せるとは思えないというか。
原田:面白いですね。コラボレーションする方が自分が出せると。
井口:そんな感覚はありますね。
原田:その中で今回は、YOHAK DESIGN STUDIOのおふたりと、GOO CHOKI PARの石井怜さん、三重野龍さんの3者とコラボレーションしていますが、この3組はどのように決まっていったのでしょうか?
井口:普段から一緒にお仕事をさせていただいている方たちということもありますが、僕は基本的にグラフィックデザインをもらった時に、その特性を読み取ろうとしたり、ここが面白いなということを見つけながら動かしていく感覚があります。今回、その中で「点」と「線」と「面」というスタート地点を一旦定めました。そして、キャラクター性がだいぶ違うという意味でこの3組のグラフィックデザイナーと組むと何か違うものが生まれそうだなと思って、セパレーションしてみたところはある気がします。
特にコクヨのおふたりについては、グラフィックデザイン、さらにプロダクトというところも含めて、手触り感やモノ感、2Dと3Dのどちらなのかわからない曖昧さ、それこそ余白という要素がすごく強いデザイナーだと思っています。それに対して石井はアルゴリズムでガチガチにルールがあったり、より身体的な三重野龍くんがいる。そうした違いを描けたら面白そうだと思い、お声がけさせてもらいました。
原田:点と線と面の話や、3者のグラフィックデザイナーの個性の違いを聞くと、すごくバランスがいいなと思いますが、一方で制作の工程は割とバラつきがあるというか、同時に進んでいたわけでもなかったんですよね?
井口:はい。この作品が実は一番ギリギリでしたね(笑)。おふたりとは不思議な関係というか、同世代ではあるのですが、僕がやんちゃに独立して活動している時から、おふたりはコクヨにいらっしゃったんですよね。これまでご一緒したお仕事では、CEKAIとしての集団性やチーム性は関係なく、僕個人の特性を読み取って「こういうチャンスがあるからこれを動かしてくれ」とピンポイントで振ってきてくれる感じがあるんです。僕だけで完結できるものをお渡しするような感じなんですよね。
原田:それは他の仕事とはだいぶ違う進め方なのですか?
井口:そうですね。普段CEKAIというチームで活動しているので、石井と一緒にやるとか、三重野龍くんに頼むとかは、こちらが巻き込んでいく側だったりするんです。でも、おふたりが僕に頼んでくれる仕事は、急に違うところからビューンとボールが飛んでくるような感覚なんです。そういう意味では、今回のようなやり方はやったことがなかったですし、いつもとベクトルが少し逆だったのかなと感じながらやっていました。
僕は割と裏方というか、トンマナをつくる側ではなく、動かしたり展開したりする側です。だからこそ、そこをピンポイントで僕に頼んでくれることがうれしいし、見つけてもらえたんだなという感覚はすごくありました。オリンピックのピクトグラムもそういう流れで動かすことになったり、そこら辺から「グラフィックを動かすこと専門」のようなニュアンスは出てきたタイミングではあったのですが、特に同世代の方たちからそういう仕事をもらうことはうれしかったですね。僕の存在は前から知ってくれていたのですか?
佐々木:もちろん存在はTYMOTE時代から知っていました。
井口:ありがとうございます。
佐々木:共通の知人がいて、僕の大学の同級生がCEKAIにも少し関わっていたので、連絡先を聞きました。
井口:そういう流れでしたか。でも、依頼をしてもらった時にすぐに意図がわかるなと思いました。キュレーションがしっかりされている感じがしたというか、こう動かしてほしいんじゃないかなというところがすごく自然だったんですよね。
佐々木:井口さんのモーションは、右側に動かすんだろうと思っていたら立体的に動いたり、こっちに動かしたんだと感じたり、すべてが驚きでした。
井口:想像と全然違うという感じでしたか? それとも、少しはそういうことを期待していたというノリだったのか。普段、グラフィックデザイナーの気持ちを読み取りながらつくる時は、期待にそのまま乗るか、少し裏切るかを少しずつやるのですが、それでいうと結構全部が驚きという感じでしたか?
佐々木:全部驚きでしたね(笑)。でもオーダーとしては、受付にある映像なのでずっと見ていたくなるような、時計のような、環境的なものをつくってほしいと伝えていたので、たしかにずっと見て、「なんでこう動くんだろう」と見ておきたくなるような映像になっていて、期待以上の動きをさせてくれたなと。
井口:インハウスデザイナーと真逆の働き方をしてきた僕らのようなフリーランス集団が一緒にやれている感じがいいなと思うんです。おふたりがインハウスデザイナーとして外の人たちをつないでいる感じが新しいと思いますし、この年齢になってここがつながってくる感じも凄く新鮮で、つくり方がマッチしていくのもすごくいいですよね。ただ、おふたりがどういう分業をされているのかというのはずっとわからないんですよね。
原田:そうですよね。役割分担はあるのでしょうか?
金井:テクニカルなことは佐々木が。
井口:感覚が金井さんなんですかね。
金井:3Dだったり、井口さんがよくする3次元曲線とかいう語りが始まるともう⋯。
井口:ちょっと鬱陶しいやつみたいじゃないですか(笑)。
金井:もう追いつけなくなるので、そこは佐々木が請け負ってくれて、それをキャッチアップします(笑)。
井口:そこは佐々木さんの感覚で、「ここは金井さんに感覚的にやってもらった方がジャンプするな」とか、「ここは組み立てないと金井が混乱するな」というのを判断しながらやっている感じなのですか?
佐々木:THE CAMPUSをやっていた時は本当に結構フラットにやっていたのですが、最近はここぞという時に頼む感じになっています。ただ、スタートのアイデアはそれぞれ考えて、どれがいいかなというのはやります。基本的には、どちらが主ですべてをやるという形にはしていないです。
井口:どのアイデアが選ばれても、フラットにフェアにやっていくということですね。
金井:どちらから始まってもアイデアを交換しているうちにふたりでプッシュアップされていく感じです。
佐々木:自分の作品ではなくなっていく感覚ですね。
井口:融けていくみたいなことですね。素晴らしいですね。やっぱりそれがおふたりの面白さで、どちらかひとりのものでもないんでしょうね。
佐々木:そうですね。
井口:おふたりがつくるものは3Dだけど、パースが狂っていたりするんですよね。上面と底面のパースが違うというか、本当にそのまま立体にしようとすると成立しないものが多いんです。だから全部パーツでつくったり、アングルが違うところでパーツを組み合わせたりしなければいけなくて、そのつくり方が面白いんですよね。
佐々木:ちなみにTHE CAMPUSのCの立体は、一度3DでつくってからIllustratorで平面にしているんですよ。その時に、わざとパースを狂わせたりしています。
井口:それを動かすのは、めちゃくちゃ難しいじゃないですか(笑)。一回壊されているものを僕は3Dで動かさなきゃいけないのですが、そこをどう読み解いていくかがとても重要だったりします。これは意図的にこうなったらつまらないと思っているんだなとか、あえてここで線の太さを変えているのかとか、そういう意図が伝わってくると、動きが決まってくる感じがあります。シンプルなのにめちゃくちゃ面倒くさいと思いながらつくっていますが(笑)、そこに抵抗感や障壁があることで、動きが面白くなることはありますよね。
今回初めて佐々木さんがCinema 4Dを使ってCGをつくっているんだということを知って少しびっくりしました。お互いに手の内はあまりわかっていないけれど、グラフィックと3Dの境界のようなところを意識しているチームですし、そういう意味ではキャッチボールも楽しかったです。ただ、それが少し長かった気もしますが(笑)。
佐々木:最後まで「実現するのかな」と(笑)。半信半疑でやっていましたね。
井口:きっとそうですよね。企画の資料を見たら、4月1日ぐらいに、「飛び出る絵本とめくるパラパラ漫画でいきたいと思います」みたいなことが書いてあって、このタイミングで決まった感じですよね。
金井:いきなり宣言されて(笑)。
原田:展示が始まったのが5月下旬ですよね。2ヶ月弱でその段階だったと。
金井:そうですね。それまではお互い探り合いながら。
原田:その前のコミュニケーションの期間も結構あったということですね。
井口:いろいろなものをつくってもらってしまい、申し訳なかったなと思います。でも、いろいろなヒントを与えてもらいつつ、さっきも少し話していましたが、僕はずっと「紙がバサバサしているような感じはしているんです」とだけお伝えしていました。
金井:紙バサバサとか、上からパサパサって吊るしたいとか。
原田:効果音多めな感じ(笑)。
金井:どういうことなんだろうなと。でも気持ちはわかるというか。
井口:気持ちはわかってくれていましたか?
金井:でもそれを言っている横で、木村優作さんとかが…。
原田:今回のテクニカルディレクションを担当されたCEKAIのメンバーですね。
金井:どうやって動かすんだろう、みたいな。それを見ているのがすごく面白かったですね。
井口:面白かったんですね(笑)。おふたりがつくったグラフィックを僕が動かしていく中で、モノになっていくというフローだけは言っていました。でも、抽象的すぎて何が出るんだろうと。それが本当に4月まで思いつかなかったんです。
原田:素材としては紙だろうなというのはあったのですか?
井口:はい。おふたりに、紙の面白さ、連続性の面白さって何ですかね、みたいなことを聞いていました。相談のフェーズがこれですね。
佐々木:そうですね。紙の束を図形化してみたり、紙の重なりで見える面白いグラフィックをつくってみたりして、どんな立体や作品になるかわからないけれど、一度こんな感じで広げてみたというのが最初のスタートでした。
井口:それをめちゃくちゃやってもらっていて、これ自体が全部ポスターになってもいいような作品なのですが、これを見ても僕は、「これは動くのか」と思っていました。自分で振っておいて、自信がなくなっていって(笑)。ただ、紙の面白さや束の面白さはここから掘っていくことができました。
普段からグラフィックを少し動かしてみたり、これは立体だと矛盾しているんだなとか、佐々木さんが多分感覚で曲げていることだったりとか、どこにフェチズムがあるのかを探っていきながら、おふたりの特徴をどう活かしたら一番面白くなるんだろうと立体的にしながら見て、試しながらつくっていく感じでした。そして、ムトスコープというものと、ポップアップブックである飛び出る絵本と、日めくりカレンダーのようなものを組み合わせると、佐々木さんたちの良さが出るというところにようやくたどり着きました。
原田:ちなみに、ムトスコープというのはどういうものですか。
井口:ゾエトロープだったり、このあたりにはいろいろな装置があるので細かい話ではあるのですが、ムトスコープは紙の束自体を動かしながら見ていくアニメーション、覗き込みながら見るアニメーションで、すごく古典的な装置ですね。飛び出る絵本というのも古典的なものですが、なんとなくこういう印象だよなというのはありました。僕の方でシミュレーションして、おふたりに「できる気がします」と。このグラフィックや飛び出る構造を使って、何か面白いものをつくれたら嬉しいです、こういう蛇腹のようなもので成り立ちそうです、とCGでシミュレーションしながらおふたりに相談しました。
金井:岡崎智弘さんがすごく感動して作品を覗き込んでいました。
井口:エンジニアリングを担当してくれた(コバヤシ)タケルさんも、これは発明だと言っていました。岡崎さんも、「あれは発明ですよ」と。これ、発明みたいですよ(笑)。この短期間で発明ができたのは本当にすごいですよね。
金井:たわみとかレイヤーの奥にできる影とか、井口さんが最初の方で結構熱弁されていましたよね。
井口:その時はよくわからなかったけど?(笑)
金井:そこが映像をされている方たちに響いているというのはすごいことだなと。
佐々木:モーションに紙の物質性が備わったという。
原田:奥行き感も不思議ですよね。
井口:そんなプロセスで出来上がっていった感じですが、今回は19枚のコマしか入れられないので、おふたりが期待しているような井口の動きになったというよりは、おふたりのグラフィックの連続が表情を変えていくようなものになり、僕が最初にイメージしていた原点に戻った感じがありました。キャラクター性やクラフト感があってパタパタ音を鳴らしている、まさにそれになったというか。これそのものを想像していたわけではないのですが。
今回僕は、モーショングラフィックスというものをグラフィックを新しい領域や違うものに変換する仲介役、ハブにしようと思っていました。この作品は、意図的に動きが止まったりして、全く動かない時もあるし、アニメーションとして見ようとすると、その弾みが邪魔にも見える。それがかわいいということもあったり、上手いモーショングラフィックスというよりは、その佇まい自体がかわいくて、ずっと眺めていられるんですよね。庭の景色を見ていることに近いような、時間の経過の仕方が描けたらいいなと思っていました。ただここはアウトプットされるまではなかなか伝わらないところだろうなと。僕の中では、おふたりはもっとすごいアニメーションをつくってほしいと期待していたんじゃないかなとかも思っていたのですが(笑)。
佐々木:でも、19コマなのに井口さんらしさというか、予想しない動きが出るんだというのは驚きでしたね。
井口:本当ですか? 良かったです。「完璧じゃなさ」ということすごく重要でした。本当にちゃんとアニメーションを見せたいのであれば、ガチガチに動いた方がいいはずだし、もっと素早い方がいいじゃないですか。このたわみや、ちゃんとアニメーション見たいのにボインボインすることによってリズムを崩されるとか、じゃあもう放っておいて見てみようと思えたりもするというか、すごくメタ的な視点のモーションなんですよね。それがモノになっていることもそうですよね。
僕は、もともとはループするGIFアニメーションをつくることが、グラフィックデザインの中で唯一モーションすることかなと思っていました。それは始点と終点がないということなのですが、グラフィックデザインを眺めている時間も無限といえば無限で、平面をどれだけ眺めていてもいいわけですよね。それに近いような、時間に制約されないのに時間軸を持っているモーションをつくりたいという思いがずっとありました。ただ、ループするGIFアニメーションというのは、ウェブサイトの中でずっと眠っていて開いたら少し止まって、またいなくなるようなものですよね。でもこの作品を見ている人たちを見ると、横から見てみたり、一度止まったらまた違うところを見に行ったり、これを見ながら滞在してくれている時間の使い方がありました。
僕は、グラフィックデザインはそもそも平面芸術だと言っているけど、みんな真正面から見ていることってそんなにないんじゃないかと思っていました。その時の違和感や、グラフィックデザインはどこに行くんだろうということと、自分がやってきたことが交流した地点がここだったなと思い返しています。
協力:公益財団法人DNP文化振興財団

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