◆ 「3620グラムの女児を出産」実在しない女性がSNSで語った“人生”
SNS上で波紋を広げていた、ある「女性政治活動家」のアカウントがある。
名前は「中村りほ」。プロフィールには「立憲民主党」の文字が記され、若い女性の画像を掲載して女性支援などを発信していた。
ところが、この女性は実在しなかった。
アカウントを作成し、投稿を続けていたのは、立憲民主党栃木県連に所属する実在の男性党員だった。
しかも、単にAIで女性の顔を作っただけではない。
投稿には「性暴力被害に遭った」という過去や、妊娠、出産についての“体験談”まで登場。5月2日には、
「午前2時30分、3620gの女の子を出産しました」
と、具体的な日時や体重まで記した出産報告を投稿していた。
存在しない女性の「人生」が、SNS上では実話のように展開されていたのである。
◆ 「性暴力被害」まで架空…なぜそこまで作り込んだのか
では、なぜ実在しない女性に、ここまで具体的な人生を与えたのか。
発覚後、男性党員は取材に対し、女性問題や性暴力被害などについて関心を広げたい思いがあり、架空の人物を設定したと説明している。
一方で、実在するかのような見せ方になった点については「見る方に誤解を与える発信になってしまった。非常に軽率だった」と釈明した。
男性側の説明では、問題意識を広げることが出発点だったという。
しかし、今回の騒動で強い違和感を持たれたのは、その「方法」だ。
実在しない人物に「性暴力被害」「妊娠」「出産」という極めて重大な体験を与え、それを本人の人生として発信していたからである。
当事者にとって決して軽くはないテーマを「実体験」として政治発信に利用していたことに、ネット上でも疑問の声が上がっている。
◆ 「父が現大臣を39票差まで追い詰めた」…家族の経歴まで設定
さらに「中村りほ」の人物像を補強するような設定も確認できる。
本人のアカウントでは、父親について「現大臣を39票差まで追い詰めた」といった趣旨の記述も投稿されていた。
性被害、妊娠、出産だけではない。家族の経歴まで設定され、「実際に存在する女性が政治活動をしている」ような人物像が作り上げられていた。
問題は、AIで女性の画像を作ったことだけではない。
存在しない人物に人生そのものを与え、政治的な発信を続けていたことにある。
見る側が「実在する政治活動家」と受け取れば、発信される言葉への受け止め方も当然変わってくる。

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