平日の昼間、喫茶店にひとりで座っています。
はじめの頃は、これが落ち着きませんでした。
コーヒーを一口飲むたびに、店の中を見回してしまう。
隣の席では若い二人が楽しそうに話している。
自分だけが、何もしていない人間に見えているような気がしてくる。
「平日の昼間から、やることのない年寄り」
誰にも言われていません。全部こちらの想像です。
それでも、いったん頭をもたげると、背中が丸くなる。
変わったのは、ノートを開いてからでした。
4コマの構成をどうするか。1コマ目で何を見せて、
3コマ目でどう転がすか。落書きのような絵を描きながら、
矢印を引いて、消して、また引く。
しばらくして顔を上げたら、店内の音が聞こえていませんでした。
若い二人はまだ話していたはずですが、こちらの耳には入っていない。
見られているかどうかも、どうでもよくなっていました。
たぶん、必要だったのは度胸ではありませんでした。
手を動かす対象のほうです。
やることがある人間は、周りを見る暇がない。
それだけの話だったのだと思います。
定年後の「ひとりの時間」を持て余していたのは、
時間が余っていたからではなく、
その時間に手を動かす先がなかったからでした。
いまは喫茶店に行くとき、必ずノートを持っていきます。
あれは度胸の代わりです。
なお、4コマに出てくる「ふーた氏」は、私です。
自分のことを他人みたいに書くと、失敗が少しだけ笑い話になるので、
そうしています。
工程は6つあります。
1. AIと相談してアイデアを出させたいくつかの案から、今回の「起承転結」4行を選ぶ(詳しくは下の「【1】今回の4行」を参照してください)
2. 自作のAI(Gemini の Gem)に入れて、画像生成用のプロンプトを作らせる
3. そのプロンプトを Gemini の「画像を生成する」に貼り、キャラクターシートを添付して生成する
4. 直したいところがあれば、出た画像をもう一度AIに入れて指示し直す
5. 日本語のセリフが間違っていたら、Canvaで直す
6. 記事にする
絵を1コマずつ描いているわけではありません。
4コマまるごと1枚、吹き出しの日本語まで含めて、一度に出しています。
以下、第5話で実際に使ったものを全部載せます。
正直に書きます。この4行は、私が考えたものではありません。
Antigravity というAIのツールに、「明鏡」というスキルを読み込ませました。
スキルというのは、AIに仕事の型をあらかじめ覚えさせておく仕組みのことです。
そのうえで「定年後のAI活用をテーマにした情報発信」について相談したところ、
4コマ100話分の企画が返ってきました。その中の1本です。
起:お気に入りの喫茶店で一人、コーヒーを飲みながらノートを広げるふーた。
承:「定年後に一人でカフェにいる男」は寂しそうに見えるのでは、と少し周囲の目を気にする。
転:だが、ノートにAIマンガの構想や落書きを描き始めると、周りの音が消え、完全に自分の世界に没頭。
結:「この誰にも邪魔されない時間が、何よりの贅沢なんだ」と、ひとり時間の良さを噛みしめる。
ネタ出しまでAIか、と思われるかもしれません。その通りです。
ただ、100本の中からどれを今描くかを決めるのは私ですし、
出てきた絵のどこが変かに気づいて直すのも私です。
そこは、まだ機械に渡していません。
記事や筋を入れると、4コマ用のプロンプトを出してくれるように作ってあります。
指示の中身はこうです。
以下の手順でカラー漫画を作成する。
漫画は1ページ、用紙は2:3の縦長、4コマ、上から下に並ぶ日本風のコマ配置。
添付のふーた(キャラクターシートの男性)や妻よしこ(キャラクターシートの女性)が、
ユーザーが入力した内容を反映した4コマ漫画にする。
吹き出しは誰が話しているか分かりやすいように配置し、
日本語のセリフ・文字は絶対に間違えないようにする。4K。
手順
1.入力内容を基に漫画のプロットを作成する。
2.プロットを基にネームを作成する。
3.ネームを基に漫画生成用のyamlプロンプトを作成する。
4.yamlプロンプトをコードブロックで出力する。
主人公の顔・髪型・眼鏡・服装を、正面/横/後ろの3方向と、
9種類の表情に並べた1枚の絵を用意してあります。
これを画像生成のときに添付します。
一度で決まることは、ほとんどありません。
気になるところがあれば、出てきた画像そのものをもう一度AIに入れて、
「ここをこう直してほしい」と指示して作り直します。
一から作り直すのではなく、出た絵を持ち込んで直してもらう形です。
ここが今のところ、いちばん人間の手が要る場所です。
指示には「日本語のセリフ・文字は絶対に間違えないように」と
はっきり書いてあります。それでも間違えます。
字が化けたり、一字足りなかったり。
そういうときは、Canvaでその部分だけ直しています。
「AIで4コマを描いています」と言うと、
ボタンひとつで出てくると思われることがあるのですが、
実際は最後にこうして手が入っています。
そして、この工程だけは減る気配がありません。
このプロンプトを、キャラクターシートを添付せずに試してみました。
別人が出てきました。それも女性でした。
考えてみれば当たり前で、上のプロンプトの人物説明は
「60代前半の日本人男性、白髪の短髪、眼鏡」程度しか書いていません。
足りない分は、AIが勝手に決めます。
顔を固定しているのはプロンプトではなく、添付した1枚の絵のほうでした。
ついでに気づいたのですが、この人物説明は私の設定ともずれています。
本当は65歳で、眼鏡は横長のフレーム、シャツは袖をまくっている。
次回から、ここを一字も動かさないよう指示に固定することにしました。
うまくいっている間は、どこが効いているのか分からないものです。
・4コマを1枚にまとめて出す。1コマずつ作ると、絵柄と顔が揃わない
・セリフは「吹き出しの中身」として指示に書く。地の文に置かない
・表情は「困った顔」ではなく「少し困って、視線をそらし、頬に汗」と書く。
単語だけ置くと、その単語が絵の中に文字で描かれてしまう
・人物の説明は毎回まったく同じ文を使う。少しでも変えると顔が変わる
・出てきた日本語は、必ず自分の目で読む。指示してもAIは字を間違える
──────────────
過去の4コマは、書庫にまとめてあります。
第1話から順に、通して読めるようにしました。
note は新しい話が上に積まれていくので、
「最初から読みたい」ときは、こちらが早いです。

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