コンピューターには欠かせない半導体メモリーの価格が急騰している。AI(人工知能)特需による需給逼迫が原因とみられ、メインメモリーに使われるDRAMモジュールの中には、2025年10~12月の3カ月で価格が約6倍に跳ね上がった製品もある。メモリーを搭載するパソコンの価格も上昇が避けられず、沈静化の見通しも立たない。企業も個人も、パソコンの買い替えタイミングや予算などで苦慮しそうだ。
「2025年9月ごろと比べると、12月には6倍近くに値上がりした製品もある」――。パソコンなどの価格を比較できるウェブサイト「価格.com」を運営するカカクコムの鎌田剛価格.comカンパニープロダクト本部メディア編集部価格.com編集長はこう語る。
現行のパソコンで標準的なDDR5規格で、容量16ギガバイト(GB)のDRAMモジュールを2枚組にした製品の平均価格データを見ると、10月ごろから上がり始め、12月にさらに急騰、2026年1月もなお上昇傾向にある。
鎌田編集長は「容量を問わず同じような傾向で値上がりしている。仮想通貨のマイニングブームなどで画像処理半導体(GPU)価格が高騰したことはあったが、メモリーがここまで高騰するのは初めてかもしれない」と話す。
一般向けの生産ラインは減少か
今回の高騰はAI特需によりメモリーの需要が急増し、それに対して供給が不足していることが原因だとする説が有力だ。市場調査会社MM総研の中村成希取締役研究部長は「半導体メモリー(チップ)メーカー大手は高性能なHBM(High Bandwidth Memory、広帯域メモリー)に生産ラインをシフトしている」と語る。
メモリーチップメーカーの大手とは韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や韓国SK hynix(SKハイニックス)、米Micron Technology(マイクロンテクノロジー)のことだ。3社でメモリーチップ世界シェアの約9割を占めるとされる。
HBMは高い伝送速度を持つメモリーで、大量にデータをやり取りするAI開発などに向く。構造的にはDRAMチップを複数枚積層したものであるため、HBMと一般のパソコンで使うようなDRAMは生産ラインを取り合う関係だ。
