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本や映画の感想

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花房観音『妬湯(うわなりのゆ)』“もう、誰にも傷つけられたくない。”

あなたは「美しさ」を永遠に保ちたいと願ったことはありますか。もし、その美しさがあなたの幸せのすべてだとしたら… 今回ご紹介するのは、花房観音さんの短編小説『妬湯』です。本作は、 美貌を武器に望むものを手に入れてきた女性が、その執着によってじわじわと恐怖に追いつめられていく物語 です。人間の欲望と嫉妬が渦巻く、少しビターでスリリングな読書体験をしたい方にぴったりの一篇です。 花房観音『妬湯(うわなりのゆ)』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 幸せの絶頂から始まる不穏な物語 ゾクっとする心理描写とリアルな恐怖 短編ならではの切れ味とエンターテイメント性 おわりに 花房観音『妬湯(うわなりのゆ)』 (『小説新潮』2021年8月号 所収作) あらすじ ーー不倫の末、愛する夫を手に入れた礼子。新婚生活が始まった矢先に 引用元:小説新潮 作品の魅力・ポイント・感想 幸せの絶頂から始まる不穏な物語…

村田沙耶香『生存』“子供の頃から、私の生存率は低かった。”

もし、あなたの人生が「65歳まで生き残る確率」という一つの数字で評価されるとしたら、どんな気持ちがするでしょうか。もし、その数字が低いというだけで、結婚や出産をためらうことになったとしたら。今回ご紹介する村田沙耶香さんの短編小説『生存』は、そんな少し不気味で、でも私たちの現実と地続きかもしれない世界を描いた物語です。 この物語は、「生存率」という絶対的な価値観に支配された社会で、一人の女性が自分の生き方を見つめ直す姿を描いています。読み終えた後、私たちが当たり前だと思っている「幸せ」の形が、少しだけ違って見えるかもしれません。 村田沙耶香『生存』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 ゾッとするほどリアルな「生存率」という名の成績表 主人公の「冷めた視線」が問いかける、本当の幸せ おわりに 村田沙耶香『生存』 『信仰』所収作 あらすじ 65歳の時点で生きている可能性を数値化した、…

石倉真帆『そこどけあほが通るさかい』“一緒に住んでた婆が死んだのはうちが十九歳の初めやった。”

あなたは、家族や親しい人からの何気ない一言に、心が深く傷ついた経験はありませんか。悪気がないと分かっていても、忘れられずにずっと胸の奥に刺さっている言葉。多くの人が、そんな経験を一度はしたことがあるかもしれません。 今回ご紹介するのは、第62回群像新人文学賞を受賞した、石倉真帆さんの『そこどけあほが通るさかい』です。 この物語は、関西の田舎町を舞台に、家族や親戚から浴びせられる辛辣な言葉の数々に傷つき、 自分の存在価値を見失いそうになる 一人の少女・光里の心の叫びを描いた作品です。 読み進めるほどに息が詰まるような苦しさを感じますが、不思議とページをめくる手が止まりません。読み終えた後には、言葉が持つ重みと、人の魂のあり方について、きっと深く考えさせられるはずです。 石倉真帆『そこどけあほが通るさかい』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 言葉の暴力が支配するリアルな設定…

阿部和重『トライアングルズ』“ 今年の夏休みは、いろいろなことが起こりました。”

最近、あなたの信じている常識が、ぐらりと揺さぶられるような体験をしたことはありますか。もし、そんな少しスリリングな刺激を求めているのなら、今回ご紹介する一篇がぴったりかもしれません。 今回取り上げるのは、阿部和重さんの 『トライアングルズ』 という物語です。この話は、小学六年生の「私」の目から見た、彼の家庭教師の先生と、先生が気になっている女性「あなた」との少し変わった関係のお話です。純粋な子供の目から見た、普通じゃない大人たちの行動に、 読み始めるともうページをめくる手が止まらなくなります。 読み終えた後、当たり前の日常が少しだけ違って見えるかもしれない、そんな不思議な魅力に満ちた物語です。 阿部和重『トライアングルズ』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 小学生が見た、ちょっと変な大人たちの世界 「あなた」への手紙、という形式が怖い 誰もが持つ「知りたい」という純粋で危険な気持ち…

古市憲寿『奈落』“もうね、ただ寿命が尽きることを夢見て生きるのは終わりにしたい。”

どうしようもない絶望の淵で、ふと見上げた先に一筋の光を見出すような物語に、心を揺さぶられた経験はありませんか。今回ご紹介するのは、社会学者であり作家の古市憲寿さんが描く、 苛烈な孤独と生の渇望の物語 『奈落』です。人気絶頂の最中にステージから転落し、動かない身体に鮮明な意識だけが残された元ミュージシャンの藤本香織。 本作は、彼女の視点を通して、人間の尊厳や家族の在り方といった根源的なテーマを鋭く問いかけます。読み終えた後、当たり前の日常が少しだけ違って見えるかもしれない、そんな強烈な読書体験があなたを待っています。 古市憲寿『奈落』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 動けない主人公の視点から描かれる、閉ざされた世界のリアリティ 心の叫びを写し取る、鋭利で生々しい文体 絶望の底で見つけた、生きることへの渇望 おわりに 古市憲寿『奈落』 あらすじ 歌姫は、17年間たったひとり――。…

赤野工作『邪魔にもならない』“どうせ死ぬならゲームを遊びながら死にたい!”

最近、何かに心の底から「熱中」した瞬間を覚えていますか。周りの音が聞こえなくなるほど、時間の流れを忘れるほど、一つのことに没頭したあの感覚。もし、人生最後の瞬間にそれができるとしたら、それは一つの幸せな生き方と言えるのかもしれません。 今回ご紹介するのは、そんな「好き」という感情の極致を描いた、 赤野工作さんによる短篇小説『邪魔にもならない』 です。物語の主人公は極限状況のなかで、テレビゲームのクリアタイムを競う「RTA(リアルタイムアタック)」に挑みます。読み終えた後、あなたが今大切にしている趣味や情熱が、もっと愛おしく感じられるはずです。 当たり前の日常が、少しだけ違って見えるような強烈な読書体験 が、あなたを待っています。 赤野工作『邪魔にもならない』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 終末と日常が交錯する、異様なリアル 主人公の焦燥とシンクロする、カウントダウン形式の文体…

中村文則『月の下の子供』"「僕は、これまでに幾度か、幽霊を見た」"

自分の感情が本物なのか、それとも演技なのか、分からなくなったことはありませんか? 中村文則さんによる短篇小説集「世界の果て」に収録された『月の下の子供』は、 施設で育った孤独な青年が、他者との関係を築けないまま暗闇へと沈んでいく物語 です。純文学の領域で高い評価を受ける中村文則が描く、人間の内面の崩壊と再生の物語は、読む者の心に静かな余韻を残します。 ページをめくり終えた後、あなたは日常の中にある小さな孤独や、他者とのつながりの意味について、違った角度から考えるようになるかもしれません。 中村文則『月の下の子供』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 煙と火が象徴する、孤独の風景 ぼんやりとした世界が、するすると続いていく 演技しながら生きることの、息苦しさ おわりに 中村文則『月の下の子供』 『世界の果て』所収作 あらすじ…

中村文則『ゴミ屋敷』“妻が死んでから、男は動かなくなった。”

愛する人を失った時、その喪失感をどう乗り越えればいいのか。そもそも、乗り越えることなどできるのでしょうか。今回ご紹介する 中村文則さんの『ゴミ屋敷』 は、そんな問いを、あまりにも奇妙で、どこか可笑しく、そして切ない形で私たちに投げかけてくる物語です。 妻の突然の死をきっかけに、心を閉ざし、やがてガラクタで家を埋め尽くしていく一人の男。その常軌を逸した行動の裏に隠された、純粋な愛と絶望。読み終えた後、あなたの目に映る世界が、少しだけ違って見えるかもしれません。 あなたの『普通』をきっと揺さぶる、強烈な物語 なのです。 中村文則『ゴミ屋敷』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 言葉にならない叫びが「ゴミの塔」になった日 悲劇なのに笑える「ブラックユーモア」という新境地 おわりに 中村文則『ゴミ屋敷』 『世界の果て』所収作 あらすじ…

橋本治『対話型対戦ゲーム「ネゴシエーター」』“町内の迷惑人間を、みんなで説得して改心させるゲーム”

「どうして、この人には話が通じないんだろう?」そんな風に、 対話の難しさ を感じた経験はありませんか。今回ご紹介する橋本治さんの短篇『対話型対戦ゲーム「ネゴシエーター」』は、そんなコミュニケーションの本質を、ユニークな切り口で描いた物語です。迷惑な隣人を“対話”で改心させるという、一風変わったゲームへの挑戦が、 私たちの日常に潜む「対話」のあり方 を改めて考えさせてくれます。 橋本治『対話型対戦ゲーム「ネゴシエーター」』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 ”言葉”だけが武器のゲーム世界 脚本のような”ライブ感” 対話の失敗が映し出す”現実” おわりに 橋本治『対話型対戦ゲーム「ネゴシエーター」』 (『すばる』2018年1月号 特集「対話からはじまる」所収作) あらすじ…

山下澄人『浮遊』“コーヒーを飲もうといつも行く、駅前のコーヒーショップへ向かって歩いていた。”

山下澄人さんの短篇小説『浮遊』は、多くの読者を「わからなさ」の迷宮に誘い込む作品かと思います。明確なストーリーがあるわけでもなく、登場人物たちの視点は目まぐるしく入れ替わり、その内面が語られることもほとんどありません。しかし、その 一見不親切とも思える「わからなさ」こそが、現代に生きる私たちの「ある感覚」を鋭く描き出している としたら、どうでしょうか。 本作を読んだ多くの人が抱くであろう、あの奇妙な感覚。それは、 「現実感がなく、すべてが他人事であるかのように感じられる」 というものです。 山下澄人『浮遊』 あらすじ 作品の魅力・ポイント・感想 「俯瞰」する視点が生み出す、世界の浮遊感 説明なき文体が突きつける「他人事」という現実 おわりに 山下澄人『浮遊』 (『砂漠ダンス』Kindle版・文庫本 所収作) あらすじ…