「見た目はまだきれいだから大丈夫。」
そう思って久しぶりに履いた登山靴が、登山中に突然壊れてしまう。
実はこのようなトラブルは、靴修理の現場では決して珍しいことではありません。その原因の多くが「加水分解(かすいぶんかい)」です。
加水分解とは、ミッドソールに使われているウレタン素材が、空気中の湿気や経年によって劣化し、もろくなってしまう現象です。
厄介なのは、「たくさん履いた靴」だけでなく、「ほとんど履いていない靴」にも起こるという点です。
「数年前に買って、クローゼットにしまっていた。」
「年に数回しか使っていない。」
そんな登山靴ほど、いざ履こうとした瞬間や山を歩いている途中でソールがボロボロと崩れてしまうことがあります。
今回ご紹介する靴はスポルティバのネパールエボですが、Beforeの写真も、まさに加水分解が進行した一足です。
踵部分にウレタンを使用しているので、ウレタン部分が加水分解を起こして今にもソールが剥がれそうな段階です。
この状態で登山を続けると、ソールが剥がれたり砕けたりして、安全な下山が難しくなる恐れがあります
一方、Afterの写真をご覧いただくと分かるように、状態によってはソール交換(リソール)によって再び安心して履ける状態へ戻すことが可能です。
お気に入りの登山靴や、足に馴染んだ一足を買い替えずに使い続けられるのは、修理ならではの大きな魅力です。
加水分解を完全に防ぐことはできませんが、定期的に履いて靴の状態を確認することや、高温多湿を避けて保管することは劣化の進行を抑えるために役立ちます。そして何より大切なのは、「見た目だけで判断しないこと」です。
登山靴は、あなたの足元を支え、安全な登山を守る大切な装備です。出発前にはソールの浮きやひび割れ、硬化がないかを確認し、少しでも気になる点があれば、専門店へ相談することをおすすめします。
「まだ履ける」ではなく、「安心して履ける」。
その視点で登山靴を見直すことが、大切な一足を長く使い続ける第一歩になります。
思い出の詰まった登山靴をこれからも山へ連れて行くために、ぜひ一度、ご自身の靴の状態をチェックしてみてください。
最後までお読みいただき、ありがとございます。
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