RSS Amplifier

Bay Area Newsletter / シリコンバレー・ニュース · Aug 26, 2026

Weekly Newsletter #277 電力が引けないなら、1か所に集めない

0
Sign in to vote or save

Rio · Bay Area Newsletter / シリコンバレー・ニュース

こんにちは、今週はRio がお届けします。

こちらは先週サンフランシスコに行った際に撮影した写真です。
よく見ると右端にはZoox のロボタクシーが赤信号にも関わらず、交差点内に取り残されています。
それを見守るWaymo の新型車両Ojai。 (詳細は#267 で取り上げています)

※photo: 筆者撮影@SF

実は中央奥から手前に向かう方面でも別のWaymo が見守っています。
ベテラン達がちょっと無茶をする新人を見守っているようにも見えます笑

Zoox はラスベガスで乗ったことがありますが、車両構造が一般的な乗用車と異なり左右前後対象の作りで、車というより遊園地のアトラクションのような乗り心地だと感じました。


一方Ojai はまだ乗れていないので、運良く乗れることを楽しみにしています。
というのも、現時点では配車の際に車両の指定ができないためです。

Waymo は既にフリーウェイ(高速道路) を走ることができ、筆者も先日空港からの帰宅で利用しました。

ノーマン・Y・ミネタ・サンノゼ国際空港 ではUber/Lyft とは別に、Waymo 専用のピックアップポイントが設けられています。
最近は時間帯によってはUber/Lyft より安いこともあり(少し前まで基本的にWaymo は他と比べて割高だった)、もう特別なものではなく日常になっていると感じました。

それでは今週も個人的注目ニュースを3件取り上げたいと思います。

  1. Debian はAI が書いたコードを受け取るのか

  2. AI クラスターがデータセンターをまたぎ始めた理由

  3. 2027年、クラウドの設備投資の7割がメモリになる


先週のニュースレターを見逃した方はこちら
Weekly Newsletter #276:テスト中のAI が外部ネットワークへ到達し、現実の企業を攻撃しました。
Weekly Newsletter #275:何度目かの「もう書かなくていい」
📚 トピックのポイントを 3 行で
  • Debian がLLM 利用の可否を一般決議にかけ、投票は8月28日締切

  • 全面禁止から条件付き容認まで8つの案が並立

  • 可決に特別多数を要するのは全面禁止案のみ

Debian が、LLM の書いたコードを受け取るかどうかを投票で決めようとしています。
一般決議 (General Resolution) の投票期間は8月15日から8月28日まで。

選択肢は8つあります。

最も厳しいのが案A で、パッケージング、公式ソフトウェア、ウェブ、ドキュメントのすべてでLLM 支援の貢献を禁じます。
著作権の不透明さ、品質保証、コミュニティへの影響、学習データの収集手法への倫理的な懸念を理由に挙げています。

対極にあるのが案B で、ライセンス互換性の確認、責任の引き受け、ツール利用の開示、大量変更の事前相談といった条件を満たすなら認めるという立場です。

その間に6つの案が並びます。
案E は是非そのものを判断せず、どんな道具を使ったかに関わらず提出者が全責任を負う、既存の品質基準がそのまま適用される、という整理に留めました。
案F は、可能な限り人間の手で書くことを勧めます。
案GDebian は人間が作ると題し、生成物をそのまま提出することは禁じる一方で、調査や分析の道具として使うことは認めます。

賛同者が17人で最も多いのは、案H です。
表題はLLM の利用は避けよう、気候破壊は許容できない
著作権でも品質でもなく、LLM を動かすのに要する資源が環境に与える負荷を、譲れない一線として置いた案です。
求めているのは、可能な範囲で利用を避けて人間が書くことを優先してほしい、という一点で、開示は歓迎するが義務ではないという書き方になっています。
そのうえで、LLM の利用は検出が難しく他プロジェクトに方針を押しつけることもできないと認め、これは拘束力のある方針ではなく立場表明にすぎない、と自ら位置づけています。

案E、案F、案H は、理由の置き方が違うだけで、結論はほぼ同じところに落ちているように見えます。
提出者が責任を負い、既存の品質基準がそのまま適用される、という点で変わりません。

結果を左右するのは、案の中身より可決要件かもしれません。
全面禁止の案A だけが特別多数 (3対1) を必要とし、残る7つの案は単純多数で足ります。
禁止のハードルだけが高く設定されている、ということです。

Debian は世界中のサーバーの土台になっているOS です。
そこに入るコードの出自を誰がどこまで保証するのかという問いは、Debian の内輪の話では終わりません。
そしてどの案が通っても、レビューする側の負荷は変わりません。
提出量が増えれば増えるほど、少数のメンテナーに集まる確認作業は重くなります。

自社の開発現場でも、同じ論点が形を変えて出てきているのではないでしょうか。
生成AI を使ったかどうかを申告させるのか。
させるとして、それを誰がどう確認するのか。
8つの案が並んだこと自体が、この問いにまだ共通見解がないことの裏返しのように思います。
8月28日を過ぎたら、どの案がどう並んだのかを見に行ってみてはいかがでしょうか。

📚 トピックのポイントを 3 行で
  • Arista のQ2 売上は30.4億ドル、前年同期比37.7%増

  • データセンター間を結ぶスケールアクロス が2026年のAI 関連売上の約3割

  • HyperPort は3.2Tbps の単一ポートでジョブ完了時間を最大44%短縮

AI クラスターは、GPU を1つの拠点に詰め込むほど速くなります。
ケーブルは短いほど有利で、同じ建物の中で完結するのが理想です。
ところがArista Networks が第2四半期の決算で3つ目の成長軸として挙げたのは、その理想と正反対の話でした。

データセンターとデータセンターを結ぶ

Arista のQ2 売上は30.4億ドル(約4,560億円: $1=150円換算) で前年同期比37.7%増、繰延収益は69%増の68.7億ドルまで積み上がりました。
CEO のJayshree Ullal 氏は、AI ネットワークを3つの方向に分けて説明しています。
1つ目はスケールアップ、ラックや筐体の中でGPU のメモリを一体に見せる領域。
2つ目はスケールアウト、複数のラックを緩く結んで学習を分散させる領域。
そして3つ目がスケールアクロス、データセンターとリージョンをまたいで結ぶ領域です。

スケールアクロス は2026年のAI 関連売上の約3割、金額にして10.8億ドルを占める見込みで、スイッチで30億ドル、光モジュールを含めて40億ドルの市場だとArista は見ています。
2030年にはスイッチ単体で150億ドルという予測も出しています。
数年前には存在しなかったカテゴリーです。
では、遅延を嫌うはずのAI クラスターが、なぜわざわざ引き離されるのでしょうか?

1つの拠点に、それだけの電力が引けないからです。

この制約に対するいくつかのアプローチは、ここ数回のニュースレターでも取り上げています。
1つ目は発電のほうを自前で用意するやり方で、#273 で取り上げたカナダの1GW 級案件がこれにあたります。


2つ目は需要のほうを曲げるやり方です。
今週、Emerald AI が1.5億ドル(約225億円) を調達し、評価額10.5億ドルの企業になりました。
系統が逼迫したときにAI ワークロードの消費電力を絞り、余裕が戻れば元に戻すという制御ソフトウェアで、アリゾナ、イリノイ、バージニア、オレゴン、ロンドンの5拠点で実証を終えています。
出資にはNVIDIASiemensGE Vernova に加え、日本のJERA のベンチャー投資部門も名を連ねました。
創業者でCEO のVarun Sivaram 氏はこう言っています。

AI 革命を駆動している知能そのものが、AI 最大のボトルネックである電力を解けるかもしれない

ただ、米国の系統に100GW 以上の余裕が眠っているという同社の主張について、算出の根拠は公表されていません。
方向としては筋が通っていますが、この数字をそのまま受け取っていいのかは冷静な見方が求められます。

そして3つ目が、そもそも1つの拠点に集めないという答えです。
学習ジョブを複数のデータセンターに割り、その間を太い回線で結ぶ。
Arista がこの用途に出しているHyperPort は、3.2Tbps のクリアチャネル接続です。
800Gbps のポートを複数束ねる従来のやり方に比べ、ジョブ完了時間を最大44%短縮できると同社は説明しています。
束ねれば帯域の合計は足りますが、フロー単位では細い経路に分かれてしまう。
1本の太い管として見せることに意味がある、という主張です。

Ullal 氏はNVIDIA の独自技術についても触れ、NVLink (NVIDIA のGPU 間を直結するインターコネクト) のような専有のスケールアップから他の選択肢へ移るには時間がかかると述べています。
裏を返せば、スケールアップは当面NVIDIA の領域で、Ethernet が先に取れるのはスケールアウトとスケールアクロスだという読みでしょう。
データセンター間接続は、これまでバックアップや災害対策の文脈で語られてきました。
それが学習ジョブを通す本番経路になるのなら、必要な帯域も可用性の考え方も変わってきます。
今後の動向も引き続き追っていきたいと思います。

画像の引用元: Memory to account for 68% of cloud giant CapEx by 2027
📚 トピックのポイントを 3 行で
  • メモリがクラウド大手の設備投資に占める比率は2026年47%、2027年68%へ

  • サーバー向けDRAM の契約価格は2026年に約270%上昇の見込み

  • HBM は同じ容量あたりウェハ面積を約3倍使い、汎用DRAM を押し出している

68%
2027年に、クラウド大手の設備投資のうちメモリが占める割合の予測値です。

TrendForce が8月26日に出した分析によると、・・・

登録(ログイン) して続きを読む

最後までお読みいただきありがとうございます!
励みになりますので、ぜひLikeボタン (♡) をお願いします!

Read the original on net1us.substack.com

Comments

Nothing yet. Say the first thing.

    Sign in to join the conversation.