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蝶乃舞 の Substack · Aug 17, 2026

「広い市場のSaaS」に挑んでいる限り、月10万円には永遠に届かない

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蝶乃舞 · 蝶乃舞 の Substack

「いつか大きく当てよう」と考えながら、広大な市場向けのSaaSを作り続けている人がいる。請求書管理、タスク管理、CRM——すでに大企業が数百億円を投じて磨き上げたプロダクトと同じ土俵に立とうとしている。そしてリリースから半年が過ぎても、有料顧客はゼロのままだ。問題はコードの品質でも、機能の数でも、マーケティング予算でもない。最初の設計思想そのものが間違っている。

私が観察してきたソロ起業家の成功パターンには、一つの共通点がある。彼らは「誰でも使える汎用ツール」を作っていない。整体院の院長が抱える予約管理の煩雑さ、税理士事務所が悩む書類の受け渡し、学習塾の先生が毎週繰り返す連絡配信——そういった、特定の職種の「見えない残業」にピンポイントで応えるプロダクトを作っている。市場規模は小さい。しかしその狭さこそが、個人ファウンダーが勝てる唯一の地形だ。

なぜ狭い市場が有利なのか。理由は単純で、ニッチなほど「その人の言葉で語れる」からだ。整体院向けのランディングページに「院長先生の次回予約率を上げる」と書けば、読んだ院長は自分ごとに感じる。「業務効率化ツール」と書いた瞬間に、それは誰にも刺さらない広告になる。顧客が自分のために作られたと感じるかどうか——それが月額課金の意思決定を左右する最大の要因だ。

もう一つ、ソロ起業家が陥りやすい誤解がある。「コードが書けないと作れない」という思い込みだ。2026年現在、LovableというAIプロダクトビルダーを使えば、プロンプトを入力するだけで実際に動くWebアプリが完成する。データベース接続、Stripe決済、メール自動送信——これらを自然言語で指示できる。週末2日間の作業で、有料顧客を獲得できるMVPを出荷した事例が複数存在する。重要なのは、ツールの使い方を習得することではなく、誰のどんな課題を解くかを先に決めることだ。技術は後からついてくる。

月10万円(MRR $700〜$800)を達成するための算数は難しくない。月額3,000円のプランなら34人、月額5,000円なら20人が有料になれば到達する。特定の職種に絞れば、その業種の人が集まるコミュニティ・SNS・勉強会は必ず存在する。そこで「自分はこの課題を解くツールを作っています」と正直に伝えれば、初期ユーザーを集めることは思ったより難しくない。広告費ゼロ、ツール費用月数千円——これが現実的なスタート地点だ。

では、何から始めるか。まず今日、自分の周囲にいる「特定の職業の人」を3人思い浮かべてほしい。家族、友人、元同僚でいい。その人たちが毎週繰り返している業務で、いまだにエクセルや手書きで対処していることが一つは必ずある。そこに問いかけることが、最初の顧客発見だ。完璧なプロダクトは後からいくらでも磨ける。しかし「誰の何を解くか」だけは、最初に設計者として決めなければならない。作業者のまま走り出しても、どこにも辿り着かない。

Read the original on maichono.substack.com

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