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inquire Letter · Jun 29, 2026

#81 「ライフスタンス」との歩み

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inquire.jp, モリジュンヤ · inquire Letter

「ライフスタンス」という言葉に出会ったのは、一通のメールがきっかけでした。PARaDEが初めて主催する、「ライフスタンス」についてのイベント「Lifestance EXPO」のメディアパートナーのご相談メールでした。

ライフスタンスとは、「一人ひとりの、生きかたに対する姿勢や態度、企業やブランドの哲学やビジョン」を定義したもの。一人ひとりが持つ、生き方への姿勢や哲学。それを企業やブランドのビジョンや思想と重ね合わせて捉え直そうとする試みに、非常に共感したことを覚えています。

以来、2023年から2026年にかけて、「つくる、買う、選ぶ。」「はたらく、生きる、選ぶ。」「つなぐ、やめる、選ぶ。」というテーマで開かれた3回のEXPOに伴走し、登壇者へのプレインタビューと、会期を終えたあとのリフレクションインタビューを重ねてきました。

事前と事後のインタビューを提案したのは、仮説を立てて確かめていくような営みであるからこそ、前後の変化も含めて共有していけるといいのではないか、という考えがあったからです。初回のインタビューたちはこちら。

2026年、PARaDEは解散という節目を迎えます。次のEXPOが開かれることは、もうありません。けれども、ライフスタンスという概念は、ここで途切れさせるのではなく、引き継いでいく必要があると考えています。

そのために、ライフスタンスをめぐるこれまでの文脈を改めて振り返ります。葛藤や気付き、解散の背景、そして今後の見通しについて対話しながら、一人ひとりが自分なりのライフスタンスの実践を見いだせる。そんな場をひらきたいと思います。

7月23日のイベントでは、その問いに一緒に向き合えるとうれしいです。過去のライフスタンスについての発信は、「ライフスタンスを問う」に特集としてまとめています、関心のある方はこちらもぜひ。

inquire / モリジュンヤ

インクワイア社内で実施する映画や本について語る会で、映画『プラダを着た悪魔2』を観たことをきっかけに、「ラグジュアリーとは何か」という問いが立ち上がりました。さらに書籍『新・ラグジュアリー――文化が生み出す経済 10の講義』(著:安西洋之、中野香織)をあわせて読むことで、その問いはより広がります。

本書では、これまでのモノづくりやサービスづくりはテクノロジーが牽引してきた一方で、これからは歴史や文学、哲学、倫理といった人文的な知識が、人々の心を動かす価値を生み出していく時代になると語られています。

私たちが注目したのは、ラグジュアリーを高級品としてではなく、人や社会にどのような意味を残すかという営みとして捉え直している点です。

ブランドをつくるということは、優れた製品や体験を提供するだけではありません。環境問題や労働問題、文化の継承といった社会課題とどのように向き合い、その価値観をものづくりや事業にどう反映していくのか。その姿勢そのものがブランドの価値になっていく時代なのかもしれません。

仕事に全力を注ぎ続けることだけが、豊かなキャリアにつながるわけではありません。長く、自分らしく働き続けるためには、何が必要なのでしょうか。

そんな問いを考えさせられたのが、LifeStance EXPO 2024のセッション「どうすれば『やりたいこと』が見つかりますか? ― 読書と雑談が『はたらきかた』にもたらすものとは」です。登壇した桜林直子と三宅香帆は、「やりたいこと」と働き方の関係について対話を重ねました。

三宅さんは著書『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』のなかでも、上野千鶴子の「全身全霊で働く」という働き方と対比しながら、身体の半分を仕事に、もう半分を仕事以外の世界に置く「半身」という考え方を紹介しています。

「半身で働くなんて贅沢では、と言われるかもしれませんが、そこを変えていきたいんです。日本は全身から全身へと切り替え、コミットすることをよしとしています。その結果、バーンアウトするのがかっこいいという思想があると思います。」

仕事に没頭し続けることだけが豊かなキャリアにつながるわけではありません。仕事以外の時間や人との対話、読書や休息といった余白があるからこそ、自分の価値観や「やりたいこと」は少しずつ育っていく。そんなライフスタンスのあり方を考えさせられる対話でした。

日々の記録には、まだ言葉になっていない問いが眠っています。

NTT出版が運営するメディア「DISTANCE.media」に掲載された、ドミニク・チェンさんの記事「ジャーナリング経験のわかちあいをとおして、『わたしたち』の記憶を発酵させる」では、ジャーナリングを単なる記録ではなく、「記憶のケア」として捉え直しています。

特に印象的なのは、「経験や記憶をコンポスト化する」「微かな知覚や感情の記録の集積から、気づけなかった問いが創造される」という視点です。効率よく情報を蓄積するためではなく、記憶を時間のなかでゆっくり発酵させることで、新しい問いや意味が立ち上がってくる。その営みを「微創造(microcreativity)」と呼んでいます。

この考え方は、個人のジャーナリングにとどまらず、コミュニティやメディアにも通じることでしょう。一人ひとりの経験や記憶を丁寧に記録し、残していくことは、コミュニティ全体の記憶を育て、新しい問いや創造を生み出す土壌になるのかもしれません。

アーカイブとは過去を保存するものではなく、未来の探究を支える営みでもあるように感じました。

こちらはイベント情報など、inquireからのお知らせを掲載するコーナーです。

冒頭でも触れたとおり、7月23日(木)に、inquiring futures #3「いい会社、いいブランド、いい生活者の歩みと現在地。ライフスタンスのこれからを問う」を池尻大橋のHOME/WORK VILLAGEにて開催します。

企業やブランドのビジョン・思想と、個人のライフスタンスの重なりを探究してきた のが、「Lifestance EXPO」です。 今回は、PARaDEを率いてきた中川淳さんと佐々木康裕さんをお迎えし、改めてこれからのライフスタンスを考えます。

いい会社とは誰にとっていい会社なのか。
いいブランドとは何を社会にひらく存在なのか。
いい生活者とはどのような人なのか。

お二人の対話を起点に、参加者一人ひとりが自分の問いを持ち寄り、ともに考える時間にしたいと思います。

詳細・お申し込み

編集部がピックアップしたイベント情報などをお知らせします。

インクワイアが支援しているStoryHub株式会社が、大型カンファレンス「StoryHub Ensemble 2026」を、2026年11月5日(木)に東京・日本橋三井ホールにて開催することを発表しました

AIが日常に溶け込みつつある2026年において、本カンファレンスでは、メディア、SEO、コーポレートコミュニケーション、AIなど、異なる立場のトップランナーが一堂に会し、これからの企業のストーリーテリングのあり方を深く掘り下げます。

詳細プログラム、登壇者、参加方法等については、今後順次公開予定となっているので、ぜひご注目ください。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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