こんにちは、デザインビジネスマガジンdesigning 編集長の小山です。
3年以上更新を止めていたdesigning letterを、今月から隔週更新で再開します。
ここ数年でWebという情報空間の役割はそれ以前と大きく異なるものになりました。それに伴い、Newsletterという媒体にも新たな役割があるのではないか。そんなことを考え、準備を整えた上で再開することになりました。(あわせて、この機にプラットフォームをSubstackへ移行しました)
本ニュースレターでは、デザイン/ビジネスを取り巻くうねりを、編集部の視点を通し配信していきます。領域を横断したまなざし、取材での裏話、記事やSNSでは書きづらい主観など含め、Newsletterという媒体を活かした濃度でお届けしていければと考えています。
再開初回は、「デザインを誰が語るか」について。
“Design is now too important to be left to designers.”
IDEO元CEOのTim Brownは、2009年の著書『Change by Design』のなかで、こんな言葉を記しています。「デザインはもはやデザイナーだけに任せておくには重要すぎる」という有名な一節です。
これは本来デザインを担う主体の話なのですが、私はそれを“語る”主体の問題として再解釈する必要性を感じています。というのも、「デザインはデザイナーだけが語るものではなくなった」と最近強く感じるからです。とりわけ、ビジネスの中での価値発揮においては。
企業がデザインのトピックについて語る場合、ないしは我々含むメディアでデザインに関する取材が出る場合、その話者の殆どはデザイナーです。無論、その分野の専門家が語るのは筋ですが、「デザイナー目線」はある種のバイアスにもなり得ます。
たとえばある企業が「デザインが浸透している」「創造的な企業だ」という場合、それは本当にデザイナーに話を聞くべきか? むしろ、その事実を探るべき相手は、号令を掛けた経営者や経営企画かもしれない。デザイナーと対立することがあるマーケ部門かもしれないし、現場で伴走するプロダクトマネージャーかもしれません。
そんな背景から、designingはこれまでと毛色の異なる連載を昨年からトライしています。具体的には、一社に対して複数回、デザイナーだけでなく非デザイン職も含めて取材をし、デザイン以外のトピックも掘るものです。
経済誌などであればたまに行われますが、デザイン専門媒体としてはおそらくあまりないと思います。ただ、これによって「企業体としてのデザインとの向き合い方」や「優れたクリエイティブが生まれる環境や組織」を適切に理解できると感じています。
本テーマで取材したのは2社。1社目はNOT A HOTEL。2社目がヘラルボニーです。
NOT A HOTELについては別途まとめて話したいので、今回は直近で公開したヘラルボニーの話を。
福祉領域スタートアップのイメージが強いヘラルボニーですが、その背景には広義なクリエイティブ企業という姿があり、いかにして理念を体現するクリエイティブを一貫して生み出しているかを紐解く形で連載をまとめました。
記事としては、「経営」「ビジネス(プロジェクト設計)」「リーガル(ルールメイク)」「クリエイティブ」の4軸、計4本公開しています。クリエイティブの話は1本だけ。他は各々経営や理念、ルールやIP、クライアントとの関係性やプロジェクト設計の話を聞きました。ただその全てが、優れたクリエイティブと理念の体現につながっているとも捉えられる——というのが今回の連載です。
理念が企業活動のあらゆる部分に浸透し、駆動力となり、優れたクリエイティブを生むことへとつながっている。多様なステークホルダーがいながらも、軸足がしっかりとしているからこそ、ブレが無く一貫性を担保できている。「デザインの人に話を聞く」だけでは得られない解像度が、こうした多面的な取材だからこそ見出せると感じています。
もちろん、これを実現するには取材先の多大な協力が不可欠でした。NOT A HOTELもヘラルボニーも広報をはじめとする皆様のご尽力あってこそ。ただそれだけ力を掛けていただけたからこそ、これまで(少なくとも私たち目線では)光を当てられてこなかった「企業体としての創造性」を可視化できたと感じています。
一貫する思想が「クリエイティブ」を拡張する。ヘラルボニー・桑山知之の判断軸
ヘラルボニーという名前を出すからには、クライアントとも率直に『こっちのほうが良いですよ』と言い合える関係性をつくらなければならない。
クライアントの心に“火”を灯す。ヘラルボニーのプロジェクトデザイン
アートを起用するだけではなく、いろんな角度で障害について考えたり、議論したりする時間をつくる。その結果、担当者の方がより熱を持って、プロジェクトに向き合える。何より、その熱が世の中で増えていくことが、ヘラルボニーが目指す“当たり前”をつくることに、必ず結びつくはずなんです。
デザインの価値を、誰も説明しない理由——Visionalに根づく、事業にデザインが融ける土壌
踏み出している……というのは正直、意識していないです。それくらい、ごく当たり前のこと。事業を成長させるために、デザインが必要なだけ、という話で。
「言葉」は何を失わせ、何を照らすのか?ベッセル・ヴァン・デア・コーク『身体はトラウマを記録する』──石塚理華「『デザイン』をほぐす書物たちとの対話」#2
身体がすでに「知っている」ことに、言葉が追いつく。そのときに初めて、自分に何が起きているのかを認識できる。
富士フイルムホールディングス 新役員体制および人事異動のお知らせ
富士フイルムホールディングスで、執行役員デザイン戦略室長を務められていた堀切和久さんが執行役員を退任。ブランドマネジメント・デザイン戦略室は、コーポレートコミュニケーション(主に広報寄り)担当の吉澤 ちさとさん管掌になっています。
インフォバーン井登さんによる、「Design by Management(経営によるデザインの活用)」と「Management by Design(デザインとしての経営)」の解釈と解説。デザイン経営どうこうというより、Management by Designについての理解を深める上での入口として。
なぜ韓国のデザインは、ここまで強くなったのか|ソウル写真紀行
梶谷さんによる旅行記兼、韓国デザインの強さに対する論考。原さんの「欲望のエデュケーション」を引いている部分は個人的にも納得感が高いところでした。無論日本は盤面が異なるので直接活かすのは難しいですが、参考にできるところは少なからずあるはず。

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