これは、先日行った下記のオンラインMEETUPで話した経営戦略の内容に関して事前に箇条書きでまとめていたものです。そのまま公開します。
現在のドメインである、オンライン宿泊予約というドメインはメガベンチャー(楽天・リクルート・Yahoo!)が支配している
僕らはもともと、ここに割って入ることを目指して創業した
しかし、コロナがあって宿泊需要がなくなってしまって、なんとか生き延びるためにSaaSのビジネスモデルにピボットをしたりした
その以降の過程で、上記で挙げた事業者と比べればすごく小さくて、不便なマッチングサービスを立ち上げた
ビジネスモデルをピボットしたこともあり、C向けのメディアはほとんどメンテナンスをしていなかったのだけど、どうしてかすごく熱心に使ってくださるユーザーがいた
彼らに、なぜ使ってくれているのかを聞いたところ、プロダクトの小ささからくる掲載商品の一貫性と独自性に魅力を感じてくれていることがわかった
Winner Takes Allなマーケットではない場合、プロダクトの拡大は必ずしもユーザーの便益を拡大せず、プロダクトの価値を毀損する可能性がある
直感的な説明としては、サービスが拡大すると、ターゲットが市場での最大公約数的なものになり、競合他社とかぶるようになるので同じようなプロダクトになっていく
適切なサイズのプロダクトは、ターゲットをニッチに絞り込むことができるので、特定のシーンでの第一早期を獲得しやすく、競争優位性を維持しやすく、ビジネスの持続性を保ちやすい
プロダクトの無制限な拡大という戦略を捨てることで、競争優位性のあるプロダクトを構築していくことができることに気づいた
実際には少ないわけではない、目立たないだけで絶対数は多い
そのほとんどは労働集約的な事業モデルの企業か、初期投資の大きな装置産業の企業である
どちらもスケールするために、人とモノ、もしくはその両方のリソースの種類の違いはあれど、少なくはないコストを要する企業である
このコストの存在が参入障壁になると同時に、無制限での拡大は不可能になっている
一方、ITプロダクトの領域ではこのような企業は多くはない
理由は主に二つ
一つは、サービスの複製コストが0だから
ITは、持たざる者のビジネスだった
知識があれば一人でもサービスを作ることができ、参入障壁が小さい
魅力的なマーケットが発見されたら、多くのプレイヤーが参入してくる
実利的な便益を提供する系のサービスでは、基本的には、事業規模を拡大させた方が、顧客一人あたりの単価が下がる
オンラインでサービス提供が可能なら、地域によるモートも築気ない
新たなマーケットで生き残るためには、サービスを拡大してコスト効率を高めていく必要がある
もう一つは、資本政策の問題
ITサービスでは、2年に一回程度の資金調達を前提とすることが普通
この場合、必ず投資家向けのExitを前提としなくてはならない
投資家向けの資本市場では、事業の継続性よりも成長性が重視される
このマーケットのルールで戦うのであれば、そもそも成長性が低いと見込まれるマーケットでは資金調達が困難
マーケットが魅力的になった時点で、競合がこぞって参入してくる
サイバーの藤田社長の著作で「失敗の99%は自滅によるものである」という言葉がある
多くのITプロダクトは、株主からの圧力によって、身の丈以上のマーケットに挑み、必要以上の拡大を行い、競合に対して付け入る隙を与え最終的に自滅していく
我々のユニークさは、労働集約的なビジネスモデルを持たず、100%自己資本で黒字化しているIT領域の事業会社であるというところにある
これは振り返ってみてもかなり稀
最初は、資金調達をして一気にグロース、5年程度でのExitを計画していたが、プロダクトのリリース直後にコロナが来てしまった
そのタイミングではバリュエーションも期待できないため、バーンレートを低く保ちながら、しばらく耐え忍ぶ必要が生じた
たくさんの試行錯誤を経て到達したSaaSのビジネスモデルは、利益率が高いわけではないが、安定してかけたコストに対して収益を積み重ねることができるビジネスモデルだった
このドメイン領域は大手が参入するには小さく、スタートアップが参入するには、収益化までの道のりが長い我慢が必要なドメインだった
このようなモデルでも、最低限の人員でバーンレートを抑えていたので、ビジネスモデルの発見から3ヶ月程度で単月黒字を実現することができた
このビジネスモデルをベースに、地道に数年間収益を積み重ねることで、新規事業への投資余力を得ることができた
これが難しい理由は、これが実現できたのはグループ会社の水星からの支援を得ていたため
コロナ禍のホテルの稼働が低いタイミングで、無利子・無担保での資金・人材面での援助を受けていた
また、龍崎の水星での信用により、CHILLNNでデットファイナンスを行うことができた
通常は受託開発などの労働集約的な事業でキャッシュをつなぐ必要が生じるだろうが、受託と事業会社ではキャッシュフローの因果が全く異なるため、なかなか事業会社に転換することは困難
我々はこれまで、新しく発見されたマーケットではないところに後から隙間を見つけて参入している
すでに勝負がついたと思われているマーケットであるため、競争相手は多くなく、不要なコストを抑えてプロダクト構築できる
到達点が最も高くなるような意思決定をしていると思っている
前提、自分は30年以上、死ぬまでこの事業を続けようと思っている
時間感覚の認識の違いで、自分は短期的に爆発的な成長を実現するのではなく、成長率を維持したまま、長く続けていくという戦略を取る
プロダクトの拡大を適切なタイミングで止める理由は、プロダクトの提供価値を最大化し、ブランドという参入障壁を築くことにある
事業を成立させるたび、経営リソースは増えていき、許容できるリスクサイズは大きくなっていく
小さいプロダクトを作るのではなく、適切なサイズというのが肝
適切なプロダクトのサイズは初期に選定したマーケットに依存する
マーケットサイズが大きければ、当然競争は激化する
競争の中で最重要なのは負けないこと、つまり体力
我々が選定するマーケットは、持っている体力で勝ち切れるマーケット
徐々に、大きなマーケットにチャレンジできるようになっていく
ニッチから始めるとはこういうことだと思っている
人材にナレッジが集積していく限り、既存事業が資産として蓄積していく限り、そこに事業としての連続性は必ずしもなくてもいい
しかし、事業の種は事業活動の中にこそあるので連続性はある
新規事業を作ろうと思って探した課題は浅いものであることが多い
一つプロダクトを作れば、必ず複数の深い課題が見つかる
体力に見合った事業を、連続して作り続けることが最大のモートを築く
直近の目標は、数年以内に満島ひかりを使ったCMを全国放送で流すこと
これはPdMの江藤さんが言い出したことなのだけど、ある程度の難易度があって、直近3年くらいの目標にはちょうどいいなと思っている
もちろんその先で、よりインパクトを持ち、できるだけ多くの人にあってよかったなと思ってもらえるようなサービスを作っていく
主戦場は「IT × ライフスタイル」と決めている
同僚が言っていた、消費は自己表現になるという言葉がとても印象に残っている
プロダクト同士が、緩やかに思想を共有したブランドとしてつながることで、消費者が積み上がっていくイメージ
出版社やレコード会社のようなIT企業
理由
雑誌は読者を増やすために、コンテンツをマスに寄せたら読者はいなくなる
バンドやグループは、マスによっていくごとに熱心なファンは剥がれていく
出版社やレコード会社は、無形資産を会社に留保しつつ、一つ一つのプロダクトを必要以上に拡大しないことで持続的な競争優位性を保っている
ITサービスは、遠くのものを繋げたり、タスクを行ったりなど、直接的な便益を提供するものだった
しかし今後は、むしろ何らかのイデオロギーを象徴するようになっていく
だから、雑誌とかバンドみたいな、ライフスタイルに特化したサービス群を作る
一つだと、スケールの圧力がかかって、プロダクトの価値を毀損しうるから適切なサイズで増やしていく
コンパウンドスタートアップがしたいわけではない
過去のプロダクトと利益を食い合ってもいい
プロダクトのサイズが適切なら、ほとんどそんなことは起きないから
敗因の99%は自滅によるものである
スタートアップにおける最大の敗因はプロダクトの規模に合わない組織拡大だと考えている
ではなぜ、急速な組織拡大が必要なのかといえば、組織維持のコストが高く、脆弱性が大きいからだ
会社は常にうまくいくわけではなく、耐えるフェーズがほとんど
採用競合がすぐそばにいる東京と違って、京都はいい意味でゆっくりと時間が流れている
腰を据えてプロダクトにフォーカスすることができる
短期的に見れば、東京にいる人材は魅力的だ
しかし、長期的に見れば、学ぶに値する企業カルチャーを築き、自ら人材を育成できる組織が最も強いと考えている
これは任天堂のゲームプランナーをしている友人から学んだこと
有名大学が多い一方で就職先の企業が少ない京都という地で、最高の育成環境を整えることができるなら、最大の競争優位性を築くことができる
そもそも短期で辞めるつもりが一切ないので、しばらくは京都で戦っていこうと思っている
人材の豊富さで劣る京都で勝つことができたら、学ぶに値する企業文化を形成できたということ
それは、つまり、長期的かつ持続的な企業の競争力を確保できたということ
現時点では上場を目指すデメリットの方が大きいと考えている
創業以来キャッシュフローを意識して経営を行なってきた結果、資金調達を要しないビジネスモデルを構築してきた
ITというドメインを前提としている間は、事業拡大に際して大きな初期投資を要しないことがほとんど
少なくとも100億程度の売り上げに到達するには、特に上場を目指す必要はないと思っている
それ以降は現時点であまり解像度が高くない
今の戦略で宿泊ドメインをやり切る
やり切らないで次のドメインに行くことはしない
主戦場はIT x ライフスタイル
やるべきビジネスは事業活動の中で常に見つかっていく
見つからないなら、本気でやっていないか、一つのソリューションで全部解決しようとしすぎているかだ

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