靴下の
梅雨に入ったというのに、その日の夕方は雨が降る予報だったにもかかわらず、結局降らなかった。降るはずだと思い込んでいた空は肩透かしを食わせるように明るく、窓の外から差し込むオレンジ色の光は必要以上に濃かった。部屋の壁や机の角を照らしながら、今にも皮膚を焼いてしまいそうな、もちろん実際には焼かれないのだが、そのような色をしていた。
近所のスーパーが長い休みを終えて営業を再開した。帰り道に立ち寄ると、冷凍ケースにはメロンボールが並んでいた。隣にはスイカボールもある。やはり見た目がかわいい。
ネットで買った、フジロックへ持っていくための水色のレインコートが届いていた。妻によく似合っていた。
平日は本当に仕事だけだ。朝、電車に乗り、夜に帰る。妻と離れて過ごす時間も多い。窓に映る顔はいつも少し疲れている。ここからしばらくは抜け出せないだろうという感覚が、路線図のように頭の中へ張り付いていた。
それでも家に帰れば、小さな出来事は続いている。焼きそばに目玉焼きを乗せた夜、その組み合わせには確かな相乗効果があった。塩の水まんじゅうは美味しい。誕生日にはレアチーズケーキを作ってくれて、上に乗ったブルーベリーは毎年変わらず添えられている。
誕生日には妻がぬいぐるみも作ってくれた。靴下で作られたものだ。夜にはタコスも作ってくれた。トマト、レタス、チーズ、タコスミート、それに少し辛いソース。自分の誕生日は幸せだったと思う。
少し前には友達と楽器の演奏会をした。何時間も音を出し続け、耳の奥に振動が残ったまま帰宅した。中野では友達とうどんを食べ、オムライスとカレーのあいがけも食べた。どれも楽しく、美味しかった。その帰り道には決まったように眠気がやってきた。
このまま、好きなことを続けられるだけの体力をつけていきたい。